最強の攻撃魔法よりも,最強の回復魔法よりも,この魔法は代えがたい魅力にあふれている。ギークたちの思考を楽にし,コンシューマーたちの思考を飛躍させる,新世紀の魔法。
基調講演でスティーブ・ジョブズがあかしたアップル社のビジョン「デジタル・ハブ」に密接に関わってくるiTunesとiDVDは,重要な存在だ。DVD編集ソフトのiDVDは,クイックタイムなどの動画をドラッグ&ドロップで操作して,DVDプレイヤーで再生できるタイトルを作成できる。MPEG2変換にかかる時間も,ベロシティー・エンジンで動画時間の2倍程度。音楽CDがすぐにつくれるiTunes,DVDタイトルがすぐにつくれるiDVDが,マックの長期的戦略の正否を決める。
繰り返しになるが,iDVDは,革命だ。ほとんどのギークにとって,最上位機種となるG4/733MHzの39万8,000円という価格は,惜しむにたる金額ではない。でき上がったムービーの保存先として,650MBの外付けCD-Rしかなかったことに比べれば,拘束具が一瞬にして解かれ,さらにすべての高度な魔法を手に入れたのとおんなじだ。それは別に,DVDビデオを取りだして遊んでいるリッピングギークだけでなく(^_^;)(WIRED NEWSの記事),自分のデジタルビデオカメラの映像で自作映画を作っているムービーギークや,早くテープメディアを捨てたいディスクギークたちも,全部を巻き込む。唯一欠点としてはiDVDでは1時間までのムービーしか1枚のDVDに収められない点だが(これがMPAAなどからの著作権に関する批判かわしだとしたらお粗末だ),上位ソフトウェアであるDVD Studio Proは,それを解消してくれるだろう。
このiDVDをハードウェア面からサポートするDVD-RW/CD-RWの両刀を使いこなすスーパードライブは,パイオニア社の「DVR-103」(WIRED NEWSの記事)。DVR-103はコンパックのPCにも搭載が予定されているが,それはちょっと先になるし,当然iDVDはない。アップルがiMacなどの既存ユーザーのためにDVR-103の外付けドライブを発売するという噂もあるが,MPEG2エンコードにかかってしまう時間を考えると,下位機種に提供することは考えずらい。すなわち,G4/733MHzを買えと(^-^)。そう,本当のギークたちが手にしたかった魔法は,これ以外になかったのだし。
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